鏡の糸面取り加工の解説/用途・効果・他処理との違いがわかる

糸面取り

  • 糸面取り処理を行った鏡の断面
  • 鏡の糸面取り加工は、側面に凹凸が残る
  • 糸面取り処理を行った鏡の断面
  • 鏡の糸面取り加工は、側面に凹凸が残る
販売価格
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特徴 切断面を最小限に削る面取り加工
ケガを防ぐ役割
シーン 枠付き鏡
家具にはめ込む鏡
壁一面の大型姿見
美術作品用の鏡
撮影用ミラー

鏡の糸面取り加工とは

鏡の「糸面取り加工」とは、鏡の縁や角を削る処理方法の一つです。簡易的な処理で研磨はしないため、表面がザラザラしていることもあります。一般的に広く鏡に施されており、安心して取り扱うための工夫の一つと言えます。

比較的簡単で低コストの処理のため、「手が切れない程度でいい」という場合に、「糸面取り加工」が人気です。また、鏡以外にも、ガラス、金属、樹脂など、様々な業界・素材で使われる用語です。

糸面取り加工は他の切断面処理とどう違う?

鏡の切断面処理は、「糸面取り加工」のほかに主に3種類あります。「切りっぱなし」「磨き加工(アラズリ)」「磨き加工(ミガキ)」です。それぞれ断面の仕上がりや安全性に違いがあるので、鏡の用途や取り扱い方法に合わせて加工方法を選ぶ必要があります。

「糸面取り加工」は、鏡の縁を軽く削って滑らかにする切断面処理です。主な目的は、エッジ部分のバリと呼ばれる小さく鋭利な突起を削り、安全性を高めることです。鏡を切断したままの「切りっぱなし」よりも縁が少しだけ丸みを帯びるため、取り扱う際のケガを防ぐ役割があります。ケガを防ぎながら見た目がすっきりするため、多くの施工場面で採用されている方法です。

強度に違いはあるの?

鏡は切断すると、端の部分に亀裂やヒビが入りやすくなり、強度が低下する可能性があります。そのため、安全性を高めるために「糸面取り加工」や「磨き加工」の処理が施されます。加工方法による強度の違いはそれほど大きくありませんが、「糸面取り加工」はある程度の強度を確保できるものの、衝撃には注意が必要です。

切断面の加工 切りっぱなし
糸面取り
磨き加工(アラズリ)
磨き加工(ミガキ)
断面の状態 手が切れるくらい
鋭い
凹凸がある まっすぐ まっすぐ
ツヤツヤ
強度 最も弱い やや強い 中程度の強さ 最も強い
採用する
状況・場面
  • 四方枠に入れて使用する場合
  • 四方枠に入れて使用する場合
  • 断面を気にしない場合
  • 3ミリ以下の薄い鏡など、断面が気にならない場合
  • 安く磨き加工がし
    たい
    場合
  • 高級感を出したい
  • 枠なしで使用する場合
  • 5ミリ以上の厚みのある鏡の場

 

切断面の加工 切りっぱなし
糸面取り
磨き加工(アラズリ)
磨き加工(ミガキ)
断面の状態 手が切れるくらい
鋭い
凹凸がある まっすぐ まっすぐ
ツヤツヤ
強度 最も弱い やや強い 中程度の強さ 最も強い
採用する
状況・場面
  • 四方枠に入れて使用する場合
  • 四方枠に入れて使用する場合
  • 断面を気にしない場合
  • 3ミリ以下の薄い鏡など、断面が気にならない場合
  • 安く磨き加工がし
    たい
    場合
  • 高級感を出したい
  • 枠なしで使用する場合
  • 5ミリ以上の厚みのある鏡の場合

 

面取りとは?

鏡やガラス、工作物の角や隅を加工して滑らかにする処理のことです。「糸面取り」以外に、角を所定の角度に整える「C面取り」と、角を丸くする「R面取り」が一般的です。

糸面取り加工は鏡以外でも使われていますか?

「糸面取り加工」は鏡の加工の他、金属加工や金型製作、板金加工、電子部品製造など、機械部品や精密加工品の製造業の工程でよく用いられています。作業現場によっては、「バリ取り」や「エッジ処理」と呼ぶ場合もあります。

何ミリの面取り?

一般的な「糸面取り加工」は、C0.1mm~C0.3mm程度の面取りを指します。ただし、加工現場への曖昧な指示を避けるためには、「指示のない角部はC0.2程度で糸面取り」のように記載すると親切です。また、加工時のばらつきを考慮し、許容される範囲(面取り交差)を指定することが重要です。例えば、

C0.5 ±0.2 → C0.5mmの面取りをし、公差±0.2mmの範囲で許容(0.3mm~0.7mmの範囲で許容)
C1.0 ±0.3 →C1.0mmの面取りをし、公差±0.3mmの範囲で許容 (0.7mm~1.3mmの範囲で許容)

といったように加工指示を出します。特に精密部品では厳密な面取り交差が求められることが多いです。

合わせガラスとは?
合わせガラス

「C」は Chamfer(面取り)の頭文字で、45度の角度で削る時の長さを示す記号です。例えば「C5」なら、角が5mmの直角二等辺三角形になる位置で斜めに削ることを意味します。なお、「糸面取り加工」はC0.1mm~C0.3mm程度の微小な面取りですが、大きく角部を斜め45°にカットする加工を「C面取り加工」と呼びます。

どのような場面で鏡に糸面取り加工が採用されていますか?

切断面処理の中では、鏡の断面が隠れたり鏡を枠に入れたりする場合に、「糸面取り加工」が一般的です。切断面の見た目にこだわる必要がないものの、作業中の安全のため、低価格で手が切れない程度の処理が施される「糸面取り加工」が選ばれています。
枠付き姿見に使用するステンレスミラーに糸面取り加工を施した事例

枠付き姿見に使用するステンレスミラーに糸面取り加工を施した事例

クローゼットの隙間に設置する鏡を糸面取り加工した事例

クローゼットの隙間に設置する鏡を糸面取り加工した事例

小物撮影用の背景に使用する表面反射鏡を糸面取り加工した事例

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鏡のオーダーカット製作はどこでできますか?

姉妹サイト「鏡の販売.com」では、鏡のオーダーカット製作ができます。1ミリ単位でサイズオーダーができるほか、異形カットや名入れ加工など、お客様の希望にお応えします。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
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